☆独断と偏見に充ちた愛のエンタメ感想文☆
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24時間テレビドラマSP『ユウキ』 視聴完了
亀ユウキ

ドラマにおいて難しいのは現実と虚構の線引きをどこでするか?ということ。
まったく感動しなかったか?と問われれば、嘘になるが、
それよりも気になる点が目立つ作品だった。
まず、ユウキはどこに住んでいるのか?
帰国した彼の家はとてつもなく大きかった。
田舎でなら、あれくらいの規模の家もありうるかもしれない。
ただ、あの家を見た(中も含めて)私にとってのユウキの印象は
<結構な金持ちのひとり息子>であった。
両親に多大な愛を注がれて、真っ直ぐに自分の思うまま、
今までの人生を生きてきた子。
だから、あれほど素直で屈託がないのだと思った。
彼は20才そこそこでワーキングホリデーでオーストラリアに行ったのだが、
その費用は一体どうしたのか?
自分でバイトをして貯めた?それとも親が援助してくれた?
…そんな疑問までわいてきた。
さらに、彼が“大量骨溶解”という
過去130年間に7例しかない病気と闘うために入院し、
「見舞いに来てよ」と頼んだのが、なぜつい最近、ワーキングホリデー中の安宿で、
ほんのひと時、過ごした仲間たちだったのか?ということも不思議でならない。
彼のあの性格だったら、もっと身近に、親しい仲間がたくさんいたんじゃないの?
窮地に立たされたときSOSを出したい人は、そういう長い付き合いの人じゃないの?
どうしてただの行きずりの旅の人びとを求める必要があったの?
彼らは代わるがわる見舞いにやって来る。
いったいこの作品の舞台はどこよ?みんなはどこに住んでるのさ?
唯一、ヨシエだけは福岡在住で、飛行機を使わないと
ユウキの病院には行けない場所に住んでいることはわかったが、
他のメンバーとユウキの入院している病院との位置関係は
最後までまったくわからずじまい。
そして究極に気になったのが手術後のシーン。
なんで髪の毛長いままなの?頭蓋骨切るのに髪は普通剃るでしょ。
連ドラとのかけもちで、実際に髪型を変えることは不可能だったとしても
全体を帽子で隠すとか、いくらでも出来たのになぜそこで手を抜く!
さらには、出たよ、由紀さおり!!
登場した瞬間にイヤ〜な予感はした。そしてその予感は的中した。
やっぱり歌いやがったよ…トホホ。
ユウキが必死に病魔と闘う姿には、心打たれるものがあったが、
“絆”をテーマにしたドラマとしてはまったく評価出来ない。
作品中、ユウキとの確かな“絆”を自然なものとして受け入れられたのは、
渡辺いっけい演ずる主治医の森下先生だけだった。
最初は症例がないに等しいこの病気に匙を投げていた彼が、
ユウキの病魔に立ち向かう姿を見ることで、ともに闘い、奇蹟を起こそうと決意する。
新たに結ばれた、しかし病気と闘うには絶対に欠かせない、患者と医師の強い絆。
この“絆”だけは多いに評価したい。
私の場合、ドラマにおける不自然な点は、
作品それじたいに魅力があればさほど気にならない性質だ。
だが、最後までどこか冷めた目でしか見られなかったということは
残念ながら、この作品にそれほどの説得力がなかったということだろう。
| drama | 23:32 | comments(2) | trackbacks(1) |
『黒い家』
黒い家
黒い家

怖い。マジで怖いッ!
昨今のホラー映画なんて目じゃあない。
もともと霊感がまったくない私にとって、
理屈で説明できない超常現象的恐怖は所詮ファンタジーの域を越えず、
どんなに他人が怖がろうと、自分にとってはまったくどうってことのない作品ばかり。
だが、生きている人間は怖い。
物語の最初は、のどかな田舎町の生命保険会社に勤める一サラリーマンの
どこにでもある平凡な日常生活が、ただただ綴られるだけである。
しかし、彼はある日、一人の少年の首吊り自殺事件に遭遇し、
その保険金支払いについて疑問を抱いてしまう。
それが、平凡な日常にぽっかりと口を開けている落とし穴だとも気付かずに。
そして、少年の両親の過去と関わりはじめることで、
ずっぽりと非日常の世界に飲み込まれていくのである。
生命保険会社のサラリーマンと、少年の両親。
同じ種であるはずの人間どうしが、
この作品では違う種類の生物として描かれている。
この作品に出てくる人間は、人といってもサイコパス、言うなればモンスター。
なんといっても、大竹しのぶが、怖い!
怖すぎる〜〜〜!!
それに輪をかけて、森田芳光監督の撮り方も怖い。
118分という時間がとてつもなく長く感じられ、
何度「早く終わってくれ」と思ったことだろう。
冒頭で、退屈になるくらい、平凡な日常を見せられているだけに
自ら事件に首を突っ込んで、ずぶずぶと深みにはまっていく
サラリーマン若槻の姿は、とてもリアリティがあり
死んだ人間より、生きてそこに存在している人間のほうが、
はるかに現実的で、怖い…と思ったのだった。
しかも、この作品、終わりかたもはっきりしない。
見終わっても、少しも安心できないのである。
原作は貴志祐介の同名小説だが、映画は単なるホラーである。
ホラーとして怖い。
原作の持つ、深みはまったくない。
ただ、怖い。
しかし、ホラーとは怖ければそれでいい。
そこに深みなど不要というのが自論である。
深みが出た時点で、怖さは恐怖に変化する。
恐怖はまったく怖くない。
| film | 00:25 | comments(2) | trackbacks(1) |