☆独断と偏見に充ちた愛のエンタメ感想文☆
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『弁護士のくず』全12話 視聴完了
弁護士のくず DVD-BOX
弁護士のくず DVD-BOX

豊川悦司と伊藤英明のバディもの、ということで
番組開始前の期待度は非常に高かった。
正直、裏番組の『医龍』など目ではないほどに。
だが、蓋を開けてみれば、
豊川悦司は、これまでのイメージを180度変えねばならない
九頭元人の役作りに、悪戦苦闘している模様。
そのコミカルぶりなどは、どことなく、松田優作の模倣のように見えた。
対して、伊藤英明は、正義感丸出しの青臭い新米弁護士、武田真実役を好演。
前々から、この人のカッコ良さがイマイチよくわからない私にとって、
この武田という田舎出の垢抜けない役は、彼に実によく似合っていたと思う。
視聴率が落ちてきた頃に、子役を投入するなど、
番組サイドの奮闘ぶりは、見ていてなかなか痛々しいものがあったが、
結局、裁判の緊迫感はオペの緊迫感には勝てなかった、ということか?
スタート時には、どちらもシリアス路線で勝負していたが
番組後半に差し掛かるにつれ、こちらはこの路線での勝負は諦めたのか、
コメディ要素が次第に強くなっていったのが印象的。
最終回直前など、他局のドラマをパクってみたり、
自虐的台詞がいたるところに飛び出したり、と
あの時間帯にはありえない暴走ぶりを如何なく発揮し、
ある種、B級ドラマ化していった。
が、シリアス路線で裏番組と真っ向から対決を挑んでいたときより
この頃の役者陣、というか、制作サイドの弾けっぷりといったら、
見ていて気持ちがよいほど投げやりで、むしろ、前半より見応えがあった。
役者陣も明らかに肩の力を抜いて、活き活きと演じており
豊川の九頭もオリジナルのそれになっていた。
それだけに、惜しいところで終わってしまった気もする。
もしも、番組中の告知通り、PART2を作るのであれば、
あの滅茶苦茶な“なんでもアリ感”を全面に打ち出した
とびきりのコメディーとして、今度は見せて欲しいと思う。
| drama | 23:20 | comments(0) | trackbacks(2) |
『医龍』全11話 視聴完了
医龍 Team Medical Dragon (主演 坂口憲二)
医龍 Team Medical Dragon (主演 坂口憲二)

かつて、MSAP(万人のための医師団)で
世界最高の救命医療チームを指揮していた天才外科医、朝田龍太郎(坂口憲二)。
明真大学付属病院心臓外科の助教授である加藤晶(稲森いずみ)は、
彼を、自分の昇進のための論文に必要な、
心臓外科医最高の技術が要される“バチスタ手術”のスタッフとしてスカウトする。
しかし、その手術を成功させるためには、朝田ひとりではなく
最強の医療チームが必要だった。
毎回、優秀ではあるが、さまざまな問題を抱えた医師が、ひとり、またひとりと
彼のチームに集まっていくその様子は、ちょっとしたRPGのようだった。
その名も“Medical Team Dragon"。
チームに必要なスタッフが、全員揃って院内を歩くシーンで
カタルシスは最高潮に達した。
そして、ラスボス登場の如く、
最後の患者の症例は、オペは不可能と思われるものだった。
だが、彼らは万全を期して、この難解なオペに臨む。
最終回では、これまでのどの回より、
もっとも息をつかせぬ展開が、最後の最後まで続いた。
CMが入るまで、こちらまで瞬きひとつ出来ないほど
いったい、何がどうなってしまうのか、
緊張感でいっぱいの回だった。
初回から最終回まで、毎回、息をもつかせぬ展開で
54分はいつもアッという間に過ぎていった。
そこに救うべき命がある限り、全力で救う、
という朝田の医師としての志のもとに集結した6名の仲間たち。
その全員が同じ思いを抱えて、オペというひとつの試合に挑む。
手術とは、チームワークがすべてなのだということを
この作品ではじめて知った。
大学病院の医局内における派閥争いというのは、実際に存在するらしいが、
そうしたことにこだわらず、向き合うべき相手はいつも患者、
という良心的な医師が、ひとりでも多く実存してくれることを切実に願った。
このドラマだけは、作品それ自体はフィクションであっても
実態もまた、絵空ごとなどではなく、ノンフィクションであって欲しいと思う。
| drama | 23:23 | comments(0) | trackbacks(4) |
『ブスの瞳に恋してる』全12話 視聴完了
ブスの瞳に恋してる (出演 稲垣吾郎、村上知子、蛯原友里)
ブスの瞳に恋してる (出演 稲垣吾郎、村上知子、蛯原友里)

みんな、みんな、とにかく一生懸命がんばっている人たちばかりで
登場人物全員、大好きなドラマだった。
ブスな女の子にステキな男の子。
この設定は少女マンガによくありがちだが、実写化はありえない、と思っていた。
なぜなら、現実に“美女と野獣”のカップルは見かけるが
逆パターンを見た記憶がないからだ。
女はステイタスも含め、男を外見だけでなく、内面まできちんと見る。
が、男の大半は女を8割以上見た目で評価する生き物だからだ。
実話にもとづく話ではあるが、原作者の鈴木おさむ氏は
確かにステイタスがあり、女性は選びたい放題だったという点で
稲垣吾郎と一致するのかもしれない。
が、ルックスの面から言わせてもらえば、
奥さまである大島美幸さんとそう変わらないランクの人だ。
だから、稲垣吾郎ランクのルックスを持つ人間が
幾ら中身に惚れたと言っても、村上知子に惹かれるという設定が、
途中までは、どんなに頑張っても、どうしても納得できなかった。
彼女がとても一生懸命な人で、人柄も申し分なく、
彼を好きな気持ちでは、誰にも負けない、とわかっていても
応援する気持ちこそあれ、結局「そりゃ、ムリだろう」
という現実的感想しか出てこなかったのである。
だが、とある日に放送されていたSMAP×SMAPの特番を見て、
この思いは変わった。
それは『小さな恋のメロディ』と題された、特別企画で
稲垣吾郎が村上知子と2人きりで短い旅をするのである。
詳細は省くが、最初は不機嫌だった稲垣が、
なんと最後に、口づけをねだる彼女に、照れくさそうに応じるのである。
ひょっとしたら、番組のやらせかもしれない。
だが、あの照れくさそうな表情が演技の下手な稲垣吾郎に出来るハズがない。
あれからこの番組を抵抗なく見られるようになったのである。
ウエディングドレス姿の彼女を見て
「綺麗だよ」というおさむには
嘘っぽさは微塵も感じられなかった。
そして、渡辺哲演じる、美幸の父親。
彼にはずっと、泣かされっ放しだった。
ずっとずっとコンプレックスだったことが、
おさむと出会うことで、いちばんの魅力に変わった。
「ブスに生まれたことに感謝します」という美幸の言葉は
人生がんばっていれば、きっといいことがある、という、
今どき幼稚園児にも通用しないような
キレイ事を信じさせてくれる説得力にあふれていた。

…それにしても、エビちゃんみたいなキレイな女の子が
中身まで磨いちゃったら、それこそ誰も太刀打ちできなくなっちゃうよ、
と、思わずにはいられない最終回だった。

恋のつぼみ (DVD付)
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恋する女の子の気持ちが大阪弁で表現されているのが魅力的♪
| drama | 23:22 | comments(0) | trackbacks(3) |
『アテンションプリーズ』全11話 視聴完了
アテンションプリーズ (出演 上戸彩)
アテンションプリーズ (出演 上戸彩)

上戸彩演じる美咲洋子は、片思いの彼のひと言で
キャビンアテンダント(CA)を目指すことを決意。
猛勉強の末、合格する。
だが、彼女が合格した頃、彼にはすでに職場で彼女が出来ていた。
不純な動機で合格した彼女は、他の訓練生とは
心構えからして既に違っていた。
場違いなところに放り込まれ、投げやりだった洋子は、
他の訓練生や教官とトラブルを起こし、ぶつかり合いながらも、
仲間たちと共に厳しい訓練の課程を乗り越えていく。そうして
やがて、彼女は自らの意思で「CAになりたい!」と強く思うようになる。
それは、彼女のひとりの人間としての成長の記録でもある。
真矢みきは、厳しくも、あたたかい心で、訓練生を見守る教官役を好演。
これまで見てきたどの役よりも、もっとも魅力的だった。
ドラマの1回、1回にきちんとした起承転結があり、
山場でのキメ台詞が、しっかりと決まっていたのは
役者はもちろん、脚本家の後藤法子の素晴らしさによるところが大きいだろう。
主人公である洋子の心の動きにはムリがなく、
彼女が自然とCAという職業に魅力を感じ、真剣になっていく様子が
服装や髪型、といった台詞以外のところできちんと表現されていた。
友情や恋愛といった要素も、邪魔にならない程度に絡めつつ、
最終目標である「CAになる」という軸は決してぶらさず
ラストまで引きつけてくれたドラマだった。
洋子の、どんなことにもめげない天真爛漫なキャラクターも、
また、このドラマが成功した大きな要因のひとつだろう。
ひさしぶりに元気をもらえるドラマだった。
途中降板した香川麗子役の高橋マリ子の存在は気になったが、
そのほかは言うことなし!
ただ、ちぃチャンが先輩CAだったというオチは、ちょっとしつこかったかナ?
| drama | 22:13 | comments(0) | trackbacks(1) |
『トップキャスター』全11話 視聴完了
トップキャスター DVD-BOX
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特に可もなく、不可もなく。
最近の月9は、あまりにもその枠のブランド性にとらわれすぎて
身動きが出来なくなっているように思う。
守りに入ってしまっているような感じ。
何もコメントする気がおきない。
| drama | 23:55 | comments(10) | trackbacks(3) |
『おいしいプロポーズ』全10話 視聴完了
おいしいプロポーズ DVD-BOX
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小松江里子の脚本らしい、オーソドックスだが、良質のドラマだったと思う。
新鮮味には欠けるものの(一部、使い古されたベタなエピソードも若干あった)、
それを補って余りある、ベテランならではの安定感が、終始一貫してあった。
キャスティングを見た限りでは、前回の同枠に比べてあまりに見劣りがして、
正直、まったく期待していなかった。
小出恵介にいたっては、主演の器か?とさえ思っていた。
事実、最初の2〜3回は、どうしても、
彼が大会社の御曹司であるセレブには見えなかった。
だが、ドラマが回を重ね、その出生の秘密や性格がわかるにつれ、
この役はむしろセレブっぽく見えなくていいのだ、と合点がいった。
小出恵介は年下の恋人、春樹をとてもチャーミングに演じており、
年上の恋人、鈴子との共演シーンは、
見ているこちらがこそばゆくなってしまうくらいであった。
春樹の鈴子を見つめる笑顔のなんて甘いことッ!
まるで溶けてしまいそうなキャンディーみたいだった。
ふたりの関係は見ているこちら側までしあわせな気分にさせてくれ、
恋愛初期の心躍る気持ちを、追体験させてもらった。
このクールのドラマの中で、もっとも作中に入り込めたのは
この作品かもしれない。
だからこそ、鈴子が春樹のために悪者になって身を引く決心をし、
春樹はどうにか、彼女を思いとどまらせようとするものの、
ペアの携帯ストラップが車のワイパーに挟んであるのを見て、
本当に自分たちは終わってしまったのだと、
ひと目もはばからず車の脇にへたりこんで号泣するシーンはとても切なかった。
鈴子と春樹の出会いは最悪で、第1回目では
やはり同じように、春樹が鈴子の車のワイパーにお金を挟んでいる。
このドラマには他にも、片思いのスープという、
二人をその後つなぐことになる料理も登場している。
最初はいがみ合っていたふたりが、やがて惹かれ合い、ハッピーエンドを迎える、
というのは、手垢がつくほど使いふるされた筋書きだけれど、
小さなエピソードを丁寧に積み重ね、視聴者を決して飽きさせることなく
ラストまで漕ぎつけた手腕はさすがである。
それだけに、ラストシーンがちょっともったいない気がした。
一年後、父親の会社を辞め、自分の会社を起ち上げた春樹は
営業の途中で、バンビーナと手書きで書かれた看板を目にする。
その先につと目をやると、ケータリング車で料理を作っている鈴子の姿が。
春樹は彼女に声をかけ、片思いのスープを注文し、
鈴子はそんな彼に微笑みかける、Fine…
となるのだが、もうひと工夫欲しかった。
春樹は、藤森に鈴子の真意を教えてもらっていたが、鈴子は何も知らない。
春樹との関係は終わり、彼は当然ミチルと結婚したと思っているはず。
ならば、ここでは、未だに彼女に変わらぬ思いを抱いている
春樹の気持ちに気付く決定的な何かが必要だったのではないか?
例えば、メニュー表を先に映す。
そこに片思いのスープは書かれていない。
なぜなら、その料理は鈴子が春樹のためだけに、創作した料理だから。
彼女は彼と別れるときにそのメニューを封印した。
その料理を知っている人はこの世に、鈴子と春樹のふたりだけ。
そこへ、鈴子の姿を見つけた春樹がこっそり近づいて行く。
今すぐにでも声をかけたい気分をグッと抑えて、
以前と変わらず、一生懸命料理を作っている鈴子に
彼はメニュー表を見ず、オーダーするのだ。
「片思いのスープをひとつ」
その言葉で鈴子が彼に気付いたら、この台詞にはもうひとつの意味が加わる。
僕はまだ、君に片思いをしたままなんだよ、と。
そして「ベーネ」に繋がれば、
まさしくおいしいプロポーズにOKの返事をした
というハッピーエンドになったのに…。
ともあれ、今までノーマークだった小出恵介クンの笑顔に
私もすっかりやられてしまった、想定外のドラマだった。
| drama | 23:54 | comments(0) | trackbacks(2) |
『マチベン』全8話 視聴完了
マチベン DVD-BOX
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脚本・井上由美子、主演・江角マキコ。
この二人に惹かれて視聴を決めた。
深川保という死刑囚をめぐり、真実とは何か?真実は必ずしも人を救うのか?
という難問を、視聴者に問いかけてくる、非常に骨太のストーリー。
実際、この4月に始まったドラマの中ではもっとも見応えがあった。
しかも、共演者には、沢田研二、山本耕史、中嶋知子といった、
ひとくせありそうな人物が勢揃い。
にもかかわらず、視聴率はずっとひと桁どまりで終わってしまった。
こんなにもバラエティーに富んだ脇役を揃えておきながら、
彼らの役割は、所詮、江角マキコのおまけ止まり。
折角の個性派俳優の存在が、存分に活かしきれてはいなかった。
その要因となったのは、全8話で完結しなければならなかったせいだろうか?
だとすれば、もったいない話だ。
もう1本作るより、通常のドラマと同じように
ワンクールまるまる使って、もっと完全な話を見せてもらいたかった。
井上脚本ドラマだけに悔いが残る。
| drama | 22:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
『クロサギ』全11話 視聴完了
クロサギ DVD-BOX
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最初のほうは楽しめたが、詐欺の手口はあまり変わりばえがしないし、
中だるみした感が否めない。
黒崎と関わる吉川氷柱の恋敵として登場する
三島ゆかりの、ドラマ内における役割が不明。
黒崎は恋愛も含めた、一般の人間関係をすべて切り捨て
詐欺師として生きていく決心を固めた男。
だとするならば、わざわざ彼を含めた三角関係を作ることは無意味に思える。
氷柱にとっては、彼と恋愛関係に陥ること自体、もう障害になっているのだから、
それでもう十分だったはず。
恋愛の三角関係を描くより、神志名とのやりとりや
早瀬真紀子や白石陽一の過去、桂木の背景など、
もっと見せるべき要素はたくさんあったはず。
これらの登場人物の描き方にもっとポイントをおいて
黒崎と絡ませて描くことが出来れば、
単なる詐欺師の物語で終わらずに済んだであろうに、
設定を活かしきれずに消化不良で終わってしまった感じがする。
いちばん良く出来ていたのは、11話の予告編。
最終回に期待したが、物語を完結させるに足るカタルシスは得られず
肩透かしを食った。
原作が連載中のこともあり、何ひとつとして問題は片付いていないことから
ひょっとしたら、続編狙いの線もあるかな?と思ったりして。
視聴者であるこちらが詐欺にあったようなドラマだった。
| drama | 23:51 | comments(2) | trackbacks(2) |
『プリマダム』全11話 視聴完了
プリマダム (出演 黒木瞳)
プリマダム (出演 黒木瞳)

黒木瞳、中森明菜のW主演、脚本は中園ミホということで
スタート前の期待度は大だった。
が、実はこのW主演というキャスティングが裏目に出たらしい。
前半はふたり別撮りのことが多く、
わざわざ中森明菜が出演している意味がほとんどなかった。
かたやパートと家事に明け暮れる平凡な主婦・万田佳奈(黒木瞳)、
かたや自分のバレエ団を持つ、元世界的プリマ・倉橋嵐子(中森明菜)。
昔のバレエ友だちということくらいしか接点がなく、
平凡な主婦がバレエによって、新たな自分に目覚めていくという物語と、
余命短い元世界的プリマが、息子に夢を託すがうまく関係を築けないという物語を、
ふたつ同時に見せられているような感じだった。
ひとつの作品にふたつの物語が存在しているのだから、
その中身は奥行きがなく、どちらの描き方も中途半端で、退屈だった。
その並行する物語をいきなりひとつにまとめるかのごとく、
後半では、内藤剛志演じる、公私ともに嵐子の支えとなってきた畠山が、
突如彼女を裏切る。
嵐子は息子ともども、バレエ団はおろか、住む場所さえ奪われて、
佳奈の家に同居することになるのだが、
この展開はあまりにも急で、無理矢理すぎる感じを受けた。
この無理矢理感は最後までつきまとった。
それは一重に、重要人物となるべき畠山の心の動きというものが、
作中ではまったくと言ってよいほど表現されず、
作り手の勝手に、何度もいいように書きかえられた印象が強いせいだと思う。
力技でなんとか物語の体裁を調えたような作品だった。
ラストに自分が主役で踊る発表会を生放送する、
などという過剰演出を、いったい誰が望んだのか?
これが本当に中園ミホが書きたかった脚本(ホン)なのか?
今だに疑問である。
万田家のアットホームな雰囲気と、古田新太のすっとぼけた味のある亭主ぶりが
このドラマの唯一の救いだった。
| drama | 22:47 | comments(0) | trackbacks(2) |
『ムーンライト・ジェリーフィッシュ』
ムーンライト・ジェリーフィッシュ 完全版
ムーンライト・ジェリーフィッシュ 完全版

脚本が悪いのか、キャストが悪いのか、どこまでも薄ら寒い作り物感が漂う。
両親を早くに亡くした兄・セイジ(藤原竜也)は、
難病の弟・ミチオ(木村了)を抱えて暮らすために、
新宿歌舞伎町で暴力団組員として、日々、危ない橋を渡るような暮らしをしている。
今日という日しか見ない刹那的な生き方をすること以外考えられないセイジ。
だが、看護士・ケイコ(岡本綾)との出会いにより、
はじめて心の中に明日という希望の光がさしてくるのだが…。
勘のいい人なら、このあらすじを読んだだけで、
おおよその結末が想像出来るだろう。
その予測を見事なほど裏切らないストーリー展開。
難病の弟、暴力団、看護士との恋愛、と物語の核になる要素がテンコ盛りすぎて
「二兎を追うもの一兎をも得ず」の格言どおり、
どれひとつとしてまともに描ききれてはいない。
すべての要素の、おいしい話に持っていけそうなところだけをピックアップして、
つぎはぎしたようなストーリーと白々しいセリフ。
藤原竜也が、暴力団の若手幹部という設定自体、どう頑張っても無理がある。
それだけでこの物語の大半はすでに破綻をきたしている。
ただ、物語の設定上、この作品には、月夜のシーンが異常に多く、
またそれが、とても美しく、幻想的に撮れている。
「物語なんてどうでもいい」
そんな風に思えるほどに、この作品に出てくる、夜の街に浮かぶ月はうつくしい。
今日は夏至。
これからだんだん夜が長くなる。
月の美しい夜の街を見たくなったら、この作品を観るとよい。

月

天野月子

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| film | 23:57 | comments(0) | trackbacks(0) |