☆独断と偏見に充ちた愛のエンタメ感想文☆
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知っている私、知らない私
椅子がこわい―私の腰痛放浪記
椅子がこわい―私の腰痛放浪記
夏樹 静子

副題に<私の腰痛放浪記>とあるように、一冊まるごと著者の腰痛闘病記本。
彼女は1993年の1月から約3年に渡り、原因不明の激しい腰痛と闘った。
発病当初、彼女は精力的に、さまざまな整骨院や整形外科、大学病院などを回り、
積極的に治療を受け、回復に尽力した。
だが、検査のためと称して、何度レントゲンやMRIをとっても
一様に器質的疾患は見当たらない。
彼女は次第に腰痛に振り回されるようになり、
終いには自分は不治の病なのだ、とまで思うようになる。
激痛のため、外出をする気にもなれず、家に引篭もる毎日。
そんな絶望のドン底で、生きていく希望を見失った彼女は
ある時、ひとりの心療内科医とめぐり会う。
それが平木英人医師であった。
平木医師の診断は彼女の腰痛は心因性のものであるということ。
つまり彼女の病名は心身症であった。
だが、彼女は頑としてその事実を受け入れようとはしない。

前半2/3は著者の腰痛をめぐる、さまざまな病院&療法探訪記、
後半1/3は著者vs平木医師との病名をめぐる討論記、ともいえる。
彼女に自分が心身症であると認めさせることはとても困難なことだった。
なぜなら意識レベルでの彼女は、
少しも書くことにストレスを覚えていなかったのだから。
しかし、潜在意識下の出光静子(著者の本名)は
もはや、夏樹静子を支えることが困難になり悲鳴をあげていた。
その悲鳴が腰痛という形をとって表に出てきたのである。
平木医師の根気強い治療のお陰で、著者は除々に
自身が心身症であることを認めていく。
そして、わずか3ヶ月で治癒に至ったのである。

著者が発病した頃、まだ心身症という言葉は、
それ自体が耳慣れない、むしろ少し差別的な匂いを持った言葉であった。
しかし、この本が発表された1997年頃から、
心の病は少しづつ世間に浸透していった。
この分野のことを扱ったドラマが作られだしたのもこの頃だ。
室井滋が主演した『心療内科医・涼子』という連続ドラマが、
ちょうど'97年によみうりテレビで制作されている。
この本は闘病記としてはもちろんのこと、
精神疾病関連の本としても読むことが出来る。
私にはむしろそちらの方が興味深かった。
人には自分の知らないところ(潜在意識下)に、
別の自分が潜んでいることがある。
そして、時としてそれが、
意識レベルの自分を支配してしまうこともありうるのだ。
どうにもならない袋小路に追い詰められたときの
心の持ちよう、自身の在り方・・・治療の中で平木医師は何度もそれを著者に説く。
この説法は、心身症でなくとも、日々の生活の上で
気持ちの置き所が心もとないとき、ひとつの教えとなってくれるだろう。
また、普通に生きていることの貴さを私に教えてくれた。
最近、鬱病をはじめとするさまざまな精神疾患が
社会現象のひとつとしてとりあげられているが
そうした病は必ずしも特別な人のものではないことを
この著書を通して知ってもらいたいと思う。
それは他人が掘った落とし穴に誤って落ちてしまうようなものなのだ。
明日、あなたが落ちないとも限らない。
もしも、そこに落ちてしまったら、また、落ちそうな状況におかれたら・・・
そんなときの対処方としてもこの本は役立つような気がする。
| book | 01:41 | comments(5) | trackbacks(1) |
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まるで私にプレゼントのブログの気分です。
あれ?ちがいますか??自意識過剰でしたorz

では勉強に戻ります・・・。
| 武田 | 2005/11/09 2:07 AM |
TBありがとうございました。

腰痛だと思っていたら本来の意味での心身症だったとは!
ドクターショッピングになってしまい余計大変な思いを
する人もかなりいるのでしょうね。


| (まめ)たぬき | 2005/11/09 4:32 PM |
表面的な自分をコントロールするのすら難しいと、常に苦労しております。「心を鍛えるためには、肉体の鍛錬と切り離すことは出来ない。逆も又真なり。肉体だけ鍛えても駄目。」で私は小学生の頃から武道場に通い続けております。(住まう土地によって稽古する内容は変わるのですが。)しかし30年近く修行しても、まだまだです。
| xwing | 2005/11/11 9:32 PM |
普通を説法しなかった。


| BlogPetのBINGO | 2005/11/12 5:39 PM |
>武田さん
このレビューを書くきっかけになったのは間違いなくあなたですw。

>(まめ)たぬきサマ
そうした人をひとりでも多く救いたくて、
著者はこの本を発表したのだとあとがきにありました。
器質的疾患を調べるのが先決ですが、
異常が見つからなかった場合、
そこで壁にぶつかってしまう人が案外に多いのではないでしょうか?

>xwingサマ
30年以上続けているということ自体、
既に精神的なひとつの自信になっているような気がします。
| かるまんぼう | 2005/11/13 10:51 PM |









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心身症
心身症心身症(しんしんしょう)は、心|こころの問題の関与が大きい身体疾患の総称。精神の持続的な緊張やストレスによって発生する。身体的な検査で実際に異常を認めることも多い身体疾患であるが、症状の発生や、症状の増悪に心因が影響している疾患をさす。身体的な
| 心理学探究 | 2005/11/26 9:17 PM |