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☆独断と偏見に充ちた愛のエンタメ感想文☆
2006.12.26 Tuesday
『役者魂!』全11話 視聴完了
役者魂! (出演 松たか子、藤田まこと) “藤田まこと演じる役者バカと、そのマネージャー松たか子が繰り広げる物語” という予備知識しか持たずに番組を見始めた私は、 当初この作品を多いに誤解していた。 頑固で年老いた役者バカの生き様を、忍耐強いマネージャーとのやりとりで描く 軽いスラップスティックコメディだとばかり思っていたのだ。 ところが、蓋を開けて、あらビックリ! 見事に裏切られた…もちろん良い意味ではあるが。 タイトルバックで無数の山手線の上に“役者魂!”というロゴが びっしり並んでいる意味を理解したのは、 恥ずかしながら、松たか子演じる主人公・烏山瞳美が 藤田まこと演じる本能寺海造と、その子ども・桜子、宙太と共に 彼の家で家族としていっしょに暮らし始める、中盤以降のことだった。 またそれは、ただ何となくドタバタしていた作品が、 私にとって、はじめて意味を持った瞬間でもあった。 この作品における“役者”とは、決して職業のことを意味しているのではなく、 この世に生を受けたすべての人びとのことを指している言葉であった。 人は誰もが自分自身の人生という舞台に立ち、そこで私という名の主役を演じる。 そしてあの世に旅立つその時まで、その役をきちんと真っ当しなければいけない。 それこそが『役者魂!』の真の意味であったのだ。 本能寺、瞳美、桜子、宙太が、共に暮らすという形で擬似家族をはじめたことにより さまざまな問題が起こりだし、それに伴う形で このテーマがくっきりと浮かび上がってきたように思う。 そういう意味では、序盤が少しもたつき過ぎた気がする。 もう少し早く、このメインテーマに気付くことが出来れば、 もっとこのドラマを楽しめたのに… それは私の責任か、果たして脚本家の責任か? しめっぽくなりがちなテーマを、そうならないように 軽いペーソスとコメディを交えながら描きたかった気持ちはよくわかる。 だが、なぜだろう? どこかもうひとつ吹っ切れない感じがラストまで残った。 当然、得られるであろうカタルシスが得られず、 肩透しを食らわされたような気持ちになるのである。 どこか宙ぶらりんで、心の落ち着く先がない。 シリアスとコメディのバランスの悪さとでもいうのだろうか? 君塚良一は刑事モノは面白いが、その他の作品ではベタな人情モノが多い。 もとは欽ちゃん劇団の座付作家からスタートした癖かもしれないが、 こうした捻りをきかせた人情ストーリーには不向きな気がする。 もし、同じテーマで岡田惠和が書いていたとしたらどうだっただろう? このジャンルは岡田惠和がもっとも得意とするところではないだろうか? とはいえ、松たか子の頑張りは見ていて、十分すぎるほどの評価に値したし、 その他のキャストも皆、“役者魂!”のタイトルにふさわしく 実によく自分の役割をこなしていたと思う。 だが、それゆえ、いささか役者に寄り掛かり過ぎた 脚本になってしまったような気がして残念でならない。 コメント
私も、ただのどたばたコメディだと思ってました。だから前半はほとんどまともに見てないんです。これまたしまったあ〜という感じです(笑)
松たか子さんが歌う主題歌も好きです。 最終回の社長さんの舞台出演、なぜかあそこが一番印象に残っています。香川照之さんの身のこなし、発声法、これこそ舞台人!とすっきりしました。正直、藤田さんを始め、他の役者さんは舞台人に見えなかったんです。藤田さんは舞台にもたくさん出てらっしゃる方のはずなんですけど、あれって、わざとなんでしょうか?前半見てないので分からないのですが・・・
| さつき | 2006/12/28 8:25 AM |
>さつきサマ
香川さんの舞台の芝居は、小劇場芝居チックでした。 昔、小劇場の世界で一世風靡した人という設定だったからでしょう。 藤田さんはおそらく、新劇の出身だと思いますので 演技法がまったく異なっているのは当然、 加えて役柄の設定がシェイクスピアしか演じない役者バカですから あの演技のほうが自然だったと思われます。
| かるまんぼう | 2006/12/31 1:07 AM |
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