☆独断と偏見に充ちた愛のエンタメ感想文☆
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『Dr.コトー診療所 2006』全11話 視聴完了
Dr.コトー診療所 2006 DVD-BOX
Dr.コトー診療所 2006 DVD-BOX
吉岡秀隆

前作では、離島に赴任してきたコトーこと五島健助が
次々に人びとの命を救い、次第に島民に受け入れられていく様子を
1話完結のエピソードを連ねて、丁寧に描いていった。
島民にとって、コトーはどんな怪我や病気も治すことの出来る
魔法使いのような存在に映ったことだろう。
それから3年。
今シリーズでは、どんな病気も治してしまう
(重さん曰く)スーパードクター、コトーではなく、
ひとりの人間としての五島健助がクローズアップされて描かれることとなった。
1話目から最終話までを通じて、共通していたテーマは
「医師とはなにか?」ということ。
ひとりの人間として、この命題に向かい合うコトーの姿が
各回を通して見事に描かれていたと思う。
「ひとりひとりの患者を家族のように思って接していては身が持たないぞ」と、
ことあるごとに口にしていた、東京の大学病院で働く、同期の鳴海医師との対比が、
ラストに結実するさまは見事。
鳴海には、かつて自分の妻の手術を執刀し、冷静な判断を欠いたために、
彼女を植物人間状態にしてしまったという過去があった。
その彼は言う。
「人の命を救うということは、本来人間が踏み込んではいけない領域に
 足を踏み入れることだ。
 そこに感情が存在したとき、医者は大きな間違いを起こす。
 医者は患者と家族にはなれない、いや、なってはいけないのだ」と。
彩佳の手術中、一瞬冷静さを失ったコトーの胸を、鳴海の言葉が揺さぶる。
そして彼は、久しぶりに本当の家族のもとへ電話をかける。
電話に出た母親は、彼が医者を目指すきっかけとなった柏木医師が、
その朝、亡くなったことを告げ、その柏木が
大学病院を辞め、離島で医療行為に尽力している五島を絶えず気にかけ、
「医者なら一度は彼のような生き方をしてみたいものだが、
 なかなかそれを実行に移すのは難しい」
と言っていたときかされる。
その言葉は、苦悩の底で葛藤を抱いていた彼に、
自分なりの答えを与えてくれたのだった。
鳴海と五島は好対照の人物として描かれているが、
ふたり揃って言えることは、己に課した命題に
“覚悟を決めて臨んでいる姿勢”とでも言うのだろうか?
これは三上医師にも、医師を志している剛洋にも言えることだが
「医師とは何か?」
そこには正解などなく、ただ絶えず、その問題から目をそむけず、
その意味を探し続けることこそが答えになるのではないだろうか?
私にはそんな風に感じられるラストだった。
テーマが重い分だけ、前作のようなすっきりとした後味はなく
11話通して、暗雲が立ち込めているような雰囲気だったのは仕方がないが、
医師としての在り方を問いつづけながら終わる今作も
秀作であったことに間違いはないだろう。
物語に色を添えてくれた重さん、和田さん、ミナちゃん、の明るさが印象に残った。
| drama | 23:58 | comments(5) | trackbacks(2) |
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| - | 23:58 | - | - |
今回は私には重過ぎました。ずーっと暗くて観るのがしんどかったです。でも観てしまうのは、この作品が丁寧に作られているからなんでしょうね。後、原作に出てきた登場人物がドラマには出ていない為に、違う人物にセリフを肩代わりさせたり、原作では違う話のエピソードとして使われたシーンが入ってきたりで、コミックを読んだ時の記憶と混同して?状態になったりしました。星野さんのキャラも原作とは設定が微妙に違うせいか少し違和感ありました。かるまんぼうさんの感想を読んで、原作と比較しながら観た為に大事なメッセージを見落としてた事に気がつきました。
| さつき | 2006/12/25 4:25 PM |
とても良かったです。何だか他に言葉も見つかりません。医学部ではなかったけれど、畜産学科で解剖学を学んでいた時を思い出し、同時期に入院していたのもあったので余計に感情移入したのかもしれません。
| xwing | 2006/12/26 12:35 AM |
>さつきサマ
原作を読んでいる人にとって、
ドラマと原作を切り離して見るという行為は、
正直、至難の技だと思います。
原作付きのドラマの場合、どこまでその要素を活かしつつ、
テレビという媒体でしか出来ないことを入れるかが
制作者の腕の見せどころ、というワケで、
原作を読んでいる人にとっては失敗作だったということでしょう。
私は原作は最初の方しか読んでいないので、貴重なご意見でした。
ありがとうございます。

>xwingサマ
とてもよいドラマというのは、
本来、言葉には出来ない感動を与えてくれるものだと思います。
3次元の世界の感動を、2次元の世界に移すことなんて
所詮不可能というか、おこがましいというか…そんな風に考えています。
| かるまんぼう | 2006/12/27 1:25 AM |
こちらも厳しい御意見ですね。ドラマを全編に渡り総合的に意見を述べなければならない場でしたら、残念ながら僕は白旗を掲げなければならないようです。
| xwing | 2006/12/27 8:53 AM |
>xwingサマ
誤解のなきよう…
原作を読んでいるさつきさんにとっては良いドラマではなかった、
それはそれでよいのではないかと私は思ったのです。
事実、このドラマに対する私の評価は高いですから。
そして、言葉が見つからないという感想こそ、
最高の賛辞だと思っています。
ただ、私の場合、それではこのブログが成り立たないワケで
しょ〜もないことをウダウダ書いているなぁ…と思ったものですから。
言葉にならない感動をどうにか言葉に出来ないものかと
日々、葛藤しているワケで、
2次元の世界が3次元の世界に所詮叶うわけがないというのは
自分の文章能力の低さに半ばやけっぱちになって書いたいい訳ですwww
| かるまんぼう | 2006/12/28 3:01 AM |









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Dr.コトー診療所2006 最終話 「最終話・逃れられぬ、医師の宿命」 」
彩佳の手術をするために彩佳の病院に行ったコトー。 自ら自分に手術をさせてほしいと頼む。 彩佳も泣きながら強くうなづいた。
| どらまにあ | 2006/12/29 10:02 AM |
吉岡 秀隆
吉岡 秀隆と言えば、「寅さん」に出てくるさくらの子供程度の認識でしたが... 5歳で劇団に所属して、翌年にはテレビデビュー。 トーク番組などにはあまり出ず、今や、ただひたすら演技に徹する「俳優」のイメージを漂わせています。
| 吉岡秀隆 | 2007/01/09 1:57 PM |